「広島名物汁なし担担麺」っていう言葉が今では当たり前になってきました。でも冷静に考えたら「なぜ広島で汁なし担担麺なの?」という疑問も。そもそも中国の料理ですし、広島名物の何かが印象的に使われているわけでもありません。それなのに広島名物としてすっかり定着してるのには、やはり歴史があるんです。まず「汁なし担担麺って何なの?」ということを説明すると、ズバリ!汁がない担担麺です。でも実は…。元々、担担麺には汁がないのが本当の姿なんです。以前、四川省に行ってきましたが、本場・中国の担担麺には汁がないのが当たり前でした。この料理が日本に伝来した際に、〝ラーメン好きな日本人〟の好みに合わせて汁のある状態にアレンジされ、それがそのまま全国に広まったといういきさつがあるんです。ですから汁なし担担麺こそが「ナチュラル・ボーン・タンタンメン」なんですよ(笑)。その汁なし担担麺が広島でここまで広がったのは、間違いなく、その系譜の始祖であるとされる舟入の「きさく」の影響です。2001年1月にきさくの大将である服部さんが汁なし担担麺の提供を始めてクチコミで広がっていきました。それまでは、日本で担担麺といえば汁があるのが当たり前。四川料理店の数あるメニューの中などに汁のない担担麺があったりはしたようですが、まさかそれをメインにして売り出すなんて店はどこにもなかっ ツイたと思います。そして翌年、きさくは「汁なし担担麺きさく」として未知の麺料理を提供する店として爆誕したわけです。まさに「奇策」としか言いようがないです。2021年は広島汁なし担担麺が誕生して20周年でした。この20年の間に広島汁なし担担麺として多くの店が独自の味を生み出して、広島各地でさまざまな味を楽しめるようになったのは本当に素晴らしいことだと思います。そして元祖の「きさく」も決して守りに入るわけではなく、店舗を増やしたり、東京でイベントをしたり、新メニューを出したりとすさまじいバイタリティーだなと驚かされます。レジェンド級のお店がしっかり進化して転がっていく姿というのは広島の麺料理界全体にいい刺激になると思います。「きさく」の「イカゲソ汁な京・銀座にある「ひろしまし担担麺」(写真上)と、東ブランドショップTAU」で提供された「きさく」の「汁なし担担麺」(写真下)汁なし担担麺誕生から20年 行列の絶えない「一麺天に通ず」の3号店として2021年4月に中区国泰寺にオープンした話題店。ラーメン激戦区への参戦に携えたのは「塩ラーメン」と「のどぐろ醤油ラーメン」という正統派。塩ラーメンはもう和食といってもいいほどのクリアな口触り。鶏ガラスープには、サバ、ウルメ、イリコ、カツオ、シイタケ、昆布などの味わいが混ざり合って、もはや「癒やされるお出汁」。トッピングが別皿で提供される心配りには、食べる側も襟を正す気持ちに。のどぐろ醤油ラーメンは、ノドグロの煮干しや国産の昆布を使い、甘みを出すために宗田節も使用。人気店が高評価に甘んずることなく、次の一手を出し続ける姿勢に感服します。麺屋 会心の一振り○住広島市中区国泰寺町1-3-11☎080-4556-1859○営11:30〜14:30、18:00〜21:00※日曜は昼のみ○休なし78ももははやや和和食食のの味味わわいい癒癒ややさされれるるおお出出汁汁ははアアア塩ラーメン820円
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